「世界中のラフはロングヒッターで溢れている」
ドライバーの飛距離に一喜一憂しようが、アイアンショットの1打も、アプローチの1打も、パットの1打も等しく1打なのに、なぜかドライバーショットでは飛んだの、飛ばないだのになる。
確かにドライブが飛ぶと、それだけアドバンテージにはなろう。
しかし、飛ばせば飛ばすほど、曲がる確率が高くなることも確かなのである。
距離が出るばかりにOBになるリスクも高くなるということである。
飛ばし屋たちはここを忘れてしまっている。
バードンはこのことを言いたかったのである。
飛ばすばかりがゴルフではないよ。
むしろ不利になることも多いのだよと。
現にメジャーの、特に全米オープンや全英オープンは、ただの飛ばし屋には栄冠をわたさないコースセッティングをする。
事実、歴代のチャンピオンを見渡すと飛距離よりは正確性を旨とした者が勝利を得ている。
むろん飛んで曲がらない天才、帝王と謳われたジャック・二クラス、現在ではタイガー・ウッズは例外にしても、今年の全米チャンプ、マイケル・キャンベルのようにシュアなプレーヤーが勝利することが多いのである。
そしてアマチャアなど特にロングヒッターは自分の飛距離に酔うあまり、それの練習しかしない。
逆に飛ばない人はアプローチなどのスキルを磨いてオールラウンドプレーヤーを目指そうとする。
飛ばし屋が大成しないという理由がそこにある。
ハリー・バードン
1870〜1937年。
イギリス生まれ。
全英オープン3勝した時点で「バードンフライヤー」というボールのプロモーションで渡米。
全米オープンに勝つ。
全英はその後も3勝し、計6勝は現在も破られていない。
フックに悩んだバードンはオーバーラッピンググリップを創意。
近代ゴルフへの道を開いたことを称えて、米ツアーの年間平均ストローク1位の選手にバードントロフィーが贈られている。
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ケリーミドルコフ
「パットラインを考える時、はじめに浮かんだラインが正解であり、あれこれ考えるほど失敗を招く」
人間の直感を、いや、動物的感性を重視せよ!
そう聞こえてくることばである。
ONボールに向かいグリーンに上がって行く時に見た第一印象のラインがいちばん正しいのである。
感性は理屈とは違う。
よく考えるゴルファーはショットはいいが、パットはまるでということが多い。
最初にみたひらめきを信じ歯切れよく打つ人にパット名手が多いのである。
日本で鬼才といわれた戸田藤一郎は「第1感が正しいんや。
グリーンへ上がったら、(ラインをみるため)うろうろせずさっと打つやつがパットはうまいんや」これが口癖だった。
ラインを見すぎると迷ってくる。
そうなると、パッテイングに歯切れがなくなってしまう。
みるのは第一印象を確認するために、というのがミドルコフのいいたいことなのだ。
ケリー・ミドルコフ
1921〜1998年。
米国テネシー州生まれ。
歯医者からプロゴルファーに転じて話題を呼んだ。
メジャー勝利3勝。
1949年、56年に全米オープン。
55年マスターズ。
PGAツアー37勝。
86年にはゴルフ殿堂入りを果たした。
ウォルター・ヘーゲン
「折れた弓では矢は飛ばないものだ」
ここで表現しているのは、弓は、左腕で矢はボールである。
折れた弓でははもちろん、弦が張れず矢など飛ぶわけはない。
左腕を弓にみたてて、トップで左腕が折れてはボールなぞ飛ばせるわけはないと、言いたかっのだ。
たしかに折れた左腕は伸びた腕より、遠心力は弱かろう。
当然、ヘッドスピードもあげにくいということになる。
これは、弓というよりピーンと張られた弦のほうが、伸びた左腕を表現するには値するかもしれない。
ところで、発言した当のヘーゲン自身は、左腕は多少曲がっていた。
「意識して曲げているのではない。トップで左腕がクラブの重みで自然に曲がっているだけだ」
あくまでも、そう、イメージしてスイングを心がけるんだ。
これを推して測るべし。のようだ
ウォルター・ヘーゲン
1892〜1969年。
ツアーだけで生計を立てた最初の人。
そういう意味でプロゴルファーの地位を高めたと評価されている。
真っ白なロールスロイス、白いタキシード姿で現れ、車で着替えしたのは、当時ハウスに入れなかったプロの地位への反抗だったのだろう。
ゴルフのスキルは天才的で「ピアニストのタッチと、金庫破りのデリケートを持った男」と評され、一世を風靡した。
全英オープン4回、全米オープン2回、全米プロ5回制覇。
ボビー・ジョーンズとはまた違う次元で、ゴルフ史に大きくその名を残している。